棋力技術史 · 10

AlphaGoからTransformer KataGoまでの囲碁AI 10年SOTA

2016年から2026年の最前線を論文、公開重み、直接対局から再構成します。幅、深さ、パラメータ、学習、探索を比べ、5,185、14,554、相対+300 Eloが同じ尺度ではない理由を解きます。

  1. まずSOTAを定義する:モデル、探索、Eloは一組の実験

    囲碁エンジンは神経網単体ではありません。再現可能な比較には、重み、エンジン版、ルールとコミ、黒白、1手のvisitsまたは時間、backend、thread、batchを固定します。Eloは同じ対局pool内の勝敗から得る相対座標です。AのBに対する勝率をpとすれば差は約400·log10(p/(1−p))で、60%、75%、90%は約+70、+191、+382 Eloです。絶対値はanchorと参加者にも依存するため、別論文の値を引き算せず、同一poolの差か直接対局だけを比較します。

    Eloは一つの対局graph上の相対座標です。相手、探索、時間、hardware、ルールが変われば座標系も変わります。
  2. 2015–2016:AlphaGoが畳み込みの直感、価値判断、木探索を接続

    初代AlphaGoは別々のpolicy networkとvalue networkを持ち、各主幹は約13層、192 filterのCNNでした。教師ありpolicyは人間のプロ棋譜で約57%の着手予測率を得て自己対局で強化され、軽量rollout policyも使われました。MCTSがpolicy prior、value、rolloutを統合します。Nature論文の分散AlphaGo Fanは1,202 CPUと176 GPUを使いBayesElo poolで3,144、後のAlphaGo Leeは別システムで、2017年論文の再構成poolでは3,739です。どちらも小さな一モデルではなく、複数network、探索、分散推論の総合システムでした。

    初期AlphaGoに正直な単一パラメータ数はありません。policy、value、rollout、探索、分散hardwareが別の役割を持ちます。
  3. 2017:AlphaGo MasterとZeroが二つのnetworkを一つの残差塔へ

    AlphaGo Zeroは分離networkとrolloutを、policyとvalueを同時出力する一つの残差networkへ置換しました。入力は直近8局面の石と手番だけです。20/40-blockは入力畳み込みの後に19/39 residual block、各blockは256 channelの3×3を2層持ち、概算23M/46M parameterです。探索は1手1,600 simulation。3日版20-blockはAlphaGo Leeに100–0、40日版40-blockは同じ5秒/手poolで5,185 Elo、AlphaGo Masterの4,858に+327、直接対局も89–11でした。進歩の核心は深さだけでなく、dual-head、純粋自己対局、簡潔なPUCTの組合せです。

    5,185と4,858は同じpoolなので差を取れます。現在のKataGoの5桁ratingとは直接比較できません。
  4. 2018–2019:非公開の頂点後、最前線は再現可能性へ

    AlphaZeroは囲碁、chess、将棋へ同じalgorithmを広げましたが、公開された囲碁結果は3日版20-block AlphaGo Zeroへの60–40で、40日版の絶対頂点を超えた証拠ではありません。公開実装は急速に進み、PhoenixGoは20-blockで2018年福州世界AI囲碁大会を制覇。ELF OpenGoは約23M parameterの20×256を2,000枚のV100で学習し、9日で超人、全工程約16日、トッププロに20–0でした。2019年KataGoはゼロからの自己対局を保ちつつ、ownership、score、補助policy、global pooling、forced playout、policy target pruningで30枚未満のV100、19日でELFを超え、学習計算を約50分の1にしました。

    2018年以後は、非公開systemの既知上限と、code・weight・対局を再現できる公開最前線を分けて追います。
  5. 2020–2023:KataGoは大きさだけでなく一回の評価価値を上げた

    2020年のg170 b20c256は中〜高探索量でLeela Zero最終40-blockに並ぶか上回り、日本ルール、置き碁、精密な目差も備えました。分散学習はb40c256、b60c320へ拡大し、b60は1 evaluationで強い一方、低速で重いnetworkでした。2022–2023年のnested bottleneck residual blockは1×1でchannelを半減し、内部で2組の3×3 residual pairを実行して主幹へ戻します。fixed-variance初期化、一回のbatch normalization、短期value uncertainty、soft policy targetと合わせ、b18c384nbtはb40c256級の速度で、計算が約2倍重いb60c320に1 evaluation当たりわずかに劣るだけでした。block数は有効深度や棋力の代理ではなくなりました。

    b18c384nbtの効率はnested bottleneckと学習targetから来ます。18と384は構造名で、Elo換算値ではありません。
  6. 2024–2025:公開最前線が最善手から人間modelと堅牢性へ拡張

    2024年のHuman SL b18c384nbt-humanv0は人間棋譜から学び、rank_20k〜rank_9d、preaz_20k〜preaz_9d、proyear_1800〜proyear_2023を条件に着手を予測します。通常はhumanPolicyを出す第二networkであり、主SOTAを置換する強化modelではありません。多いvisitsは対象rankが見逃す戦術を解いてしまいます。主自己対局系は73M parameterのb28c512nbtへ拡大しました。さらに循環形のadversarial policyが超人設定へ高勝率を得たことで、通常Elo、分布外の挙動、ルールの正しさが別能力だと明らかになりました。

    Human SLは人間らしい選択、主modelは棋力、robustnessは第三軸を最適化します。一つのratingには統合できません。
  7. 2026:Transformer KataGo 全局面attention

    KataGo v1.17は主要backendへTransformerを導入し、v1.18はCUDAを大幅最適化してROCmとONNXも追加しました。最初の3×3 convolutionが22 input planeをtrunkへ写し、nested bottleneck内でattention+MLPを反復します。位置は各headの学習可能な2次元周波数RoPEで入ります。公開3種のうち、小型b10c384h6nbttflrsは1 evaluation当たりで最強b18をすでに上回ります。中型b10c512h8nbt3tflrsは10 block×3 attention layer×8 head、合計240 head、29M parameter。大型b11c768h12nbt3tflrsは396 head、71Mです。73Mのb28c512 convnetを0とすると、中型は等evaluation約+50 Elo、等時間約+120、大型は約+460/+300。234Mのb40c768は等evaluation約+400でも遅いため等時間約+70です。学習siteの現行最強確定b40は等visitsの内部poolで14,554.2±20.9ですが、移植可能なratingではありません。大型Transformerの等時間+300はb28への期待勝率約85%で、これが少ないparameterで強いという実用的意味です。

    2026-08-24時点でTransformer 3種は公開済み。公開main runはまだb40c768で、projectは切替予定と説明しています。

論文と一次資料

  1. Google Research · AlphaGo論文
  2. Nature · AlphaGo Zero論文
  3. UCL · AlphaZero公開稿
  4. ICML · ELF OpenGo
  5. KataGo · Accelerating Self-Play Learning in Go
  6. KataGoの手法とarchitecture
  7. KataGo Human SL guide
  8. Adversarial Policies Beat Superhuman Go AIs
  9. KataGo v1.17.1 Transformer release
  10. KataGo v1.18.0 backend・CUDA release
  11. KataGo 2026 Transformer構造・Elo研究
  12. KataGo分散学習とrating

二つの囲碁AIを比べる前の記録

  • 構造とparameter数
  • weightとengine版
  • 等visitsか等時間か
  • ルール、コミ、黒白、hardware
  • Eloが同一対局poolか
modelと指標を読む