囲碁AI実証研究 · 13

囲碁AIの最も面白い最前線は、人間に見えない好手をどう可視化するかだ

プロ棋譜50局、500局面、実訪問397,561、対局単位bootstrap 10,000回、さらに8種類の盤面対称性で最大8,192 visitsまで監査しました。最善手だけでなく、人がなぜ見つけにくいか、labelが安定しているか、何を教える価値があるかを測ります。

  1. SOTAは永遠の一位ではなく、測定役の組合せ

    2026年8月24日時点の最新公開engineはKataGo v1.18.0です。本研究はv1.17.xのb11 768-channel Transformerを強い教師、b10 512-channel Transformerをcross-check、b18 Human SLを棋力・年代条件付き人間policyに使いました。公式network pageも異なるbotやrunの近似Eloは直接比較できないと注意しています。 ここでのSOTAは一つのweightが永久に世界一という意味ではありません。教師は候補価値、別modelは依存性、Human SLは人が選びそうな手を測ります。役割は異なり、どれも無誤差のoracleではありません。

  2. 公開棋譜から固定500局面へ

    AEB/CWIのpublic-domainプロ棋譜から、1950–1969から2016–2023まで5年代、各10局の日本棋戦を選び、各局の主線中盤から10局面を決定論的に抽出しました。日本ルールとSGFのkomiを保ち、結果を見てから例を選んでいません。 主教師は128/512 visits、Human SLは5d、9d、年代一致、2023の四policyを出力し、別の強modelが100局面を照合しました。信頼区間はすべて対局単位bootstrap 10,000回で、同じ一局の隣接10局面を独立証拠とは扱いません。

  3. 唯一の第一候補は良い教材単位ではない

    年代一致policyで、AI第一候補の確率中央値は22.4%、1目以内の好手集合は80.0%で、差は57.6ポイントでした。第一候補が1%未満の局面は13.4%ですが、好手集合全体が5%未満なのは4.0%だけです。 高価値領域へ全く入れなかった場合と、領域には入ったがsearch noiseや微小な価値差で一位になった座標を外した場合は別です。前者は概念的blind spotになり得ますが、後者を誤りと呼ぶ必要はないことが多いのです。

  4. 好手集合が見えにくいほど実戦損失は大きい

    482局面では実戦着が同じ512-visit root searchに残り、同じ基準の目損を計算できました。目損と好手集合surprisalのSpearman相関は0.419、対局cluster 95%区間は0.327–0.503です。 数局だけが全体に難しかった可能性を除くため、両rankを対局内で中心化しても相関は0.413、区間0.309–0.508でした。発見可能性仮説を支持しますが、特定の説明が学習を起こすという因果証拠ではありません。

  5. 現代policyのcoverageは少し高いが、時代棋力表ではない

    同じ局面でproyear_2023は年代一致profileより1目以内の好手集合へ平均2.2ポイント多く確率を与え、cluster区間は1.6–2.9でした。古い年代ほど差が大きく、2005–2015の区間はゼロをまたぎます。 これはpolicy分布の移動であり、現代棋士が何目強いかを測りません。標本は世界のプロ棋譜からの無作為抽出ではなく、棋型、定石、大会、棋士構成も時間とともに変わります。

  6. budget・model・対称性監査は魅力的な物語を覆す

    128と512 visitsの第一候補一致は74.8%、別の強modelは100局面中78.0%で一致しました。異常10局面のD4監査では2,048 visitsで8局面だけが8方向完全一致し、同方向の512/2,048候補維持率も67.5%でした。 8,192 visitsでは羽根直樹の局面がB7へ8方向収束しました。一方、坂田栄男の旧A4悪手labelは否定され、全8方向で1目以内に残る単一候補もありません。信頼できるsystemは浅い結果へ説明を付けるのでなく、labelを撤回できなければなりません。

  7. 次世代検討にはisBestMoveでなく証拠chainが必要

    教材候補はbudget gate、cross-model gate、D4 symmetry gateを通過してから、対象棋力・年代のHuman SLでcommon、marginal、hiddenを判定します。安定してhiddenなら優先し、安定してcommonなら短く確認し、不安定なら不確実性を示すか自動説明を止めます。 残る終点は因果実験です。目損だけの順序と、目損・発見可能性・安定性を合わせた順序を無作為比較し、数日後の記憶と未知局面へのtransferを測ります。次の一局の判断が改善して初めてteachabilityは製品上の事実になります。

公開資料と再現境界

  1. KataGo v1.18.0 release
  2. KataGo v1.17.1 Transformer model
  3. Human SL Analysis Guide
  4. KataGo公開network page
  5. AEB/CWIプロ棋譜archive

次の計算budgetを使う価値がある場所

  • 異常tailを8,192 / 32,768 visits・2 modelで監査
  • 主searchが落としたHuman SL高確率手を強制評価
  • 棋士と未来期間をhold-out
  • 遅延記憶と未知局面transferを無作為比較
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